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『ね、お父さんとお母さんってどこで会ったの?』

『え〜?なあに突然!‥‥‥って‥‥‥そっか、ゆきちゃんもそんな事を気にする歳になったのね』

『‥‥‥嫁には早いぞ』

『‥‥お父さん、わたしまだ小学生だよ‥‥気が早いなあ』

『‥‥そうか』



お父さんはあまりしゃべらない人だけど、いつも優しく頭をなでてくれる。

子供心にきれいな人だと思う。




『あのね、みおちゃんのパパとママはおさななじみで結婚したんだって!‥‥わたしも、お父さんたちがどこで会ったか知りたいよ?』

『う〜んとね‥‥‥‥ここからは遠い所で出会ったのよ、ね?』

『そうだ』

『遠いって‥‥外国?』

『そんなところだ』

『ふ〜ん』



私が良く解らないって顔をしていたら、お母さんはふふっと笑った。

いくつになっても女の子みたいな可愛いお母さん。



『そのうちゆきちゃんにも話してあげるからねっ』



私達のこと。








だけど、それを聞く機会は永遠に失った。










ACT8.薄紅の桜と赤き翼








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