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苦しいまでの焦躁と

溢れる程の愛しさ、



今まで気付かなかった。








彼女に再び会える

勿論、彼女は自分の運命の結末など知らないけれど、そんな事はどうでもいい。


彼女は知らなくていい。
自分が犠牲になった事など。












‥‥‥知って欲しい事はただひとつ。











僕にとって君が


どれ程尊い存在なのか。







絶対的な存在だと

どう伝えようか。











ACT43.抱き締めた温もり











目も眩むばかりの眩い光に包まれた。

 
何処か遠くから聞こえる鈴に似た音が、刹那を神聖なものに思わせる。





音が止み、視界が白から段々色が重なれば、そこは薄ら砂塵が陽光に舞っていた。



(ここは‥‥‥?)



弁慶は混乱気味の頭を軽く振った。
それから、今置かれている体勢に気付く。

どうやら地面に這う姿勢で倒れているらしい。
認識する頭と同時に、眼で素早く周りを確認する。





散乱した武器や衣服の切れ端、自分の周りには血痕。

そして倒れている仲間の姿。





視線の先には場に似合わない、染み一つ無い衣服を纏った足元が見える。



(時空を超えた‥‥‥?)



‥‥‥政子が起きている。

それは、時空を超えたとしか考えられない。

何故なら、茶吉尼天がゆきの身体に入った後、政子自身は意識を失っていたのだから。





彼女の姿はまだない。






‥‥‥ゆきはまだ生きている。
胸が熱くなった。

今度こそ、何があっても喪ったりはしない。



決意を胸に、地面を掴む様に拳を握り締めた時に、ふと違和感に気付いた。
政子に気付かれぬ様にそっと手を動かして‥‥‥それは確信に変わる。

あの時負っていた傷が、跡形もなく癒えていた。



(時空を超えるとは、こう言う事ですか‥‥‥)



前の時空で身体に受けた傷や痛みは消える。
勿論記憶や感情などは消せるべくもないけれど、身体は元に戻ると言う事か。

それならば、飛ばされる前に「この時空」に存在した自分の受けた傷が、引き継がれるのでは?
ふと考えたが、どうやらそれは「別人」である自分に移ったりしないらしい。
そう結論付ける迄、瞬く時間のこと。



(‥‥‥どちらにしろ、無傷なのは有り難い)



もう、あの無力な絶望を繰り返さずに済むのだから。









もうすぐきっと、会える。




   


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