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望美が見て来たという余りにも惨い現実に愕然としながら、

時空の違う自分も
こうやって失って初めて気付いたのだろうか‥‥‥。

と弁慶は絶望の思いを馳せた。












想われているのは分かっていた。

そう仕向けたのは自分。



‥‥‥‥それでも、今になって初めて気付く。



そう、やっと気付いた。

どれほど彼女に愛されていたのか。













『弁慶さん!』

花のように笑うゆき。



『‥‥弁慶さんもしょうがない人ですよ』

呆れ顔のゆき。



『ごめんなさい、弁慶さん‥‥‥』

自分の背中で、泣いていたゆき。



『とても、とても、大切な人なんです
だから、弁慶さんになら騙されてもいい』

毅然と笑う、迷いないゆき。













「ゆき‥‥」

「‥‥‥そうやって、いつも失ってから気付くんですよ、弁慶さんは」

「‥‥‥‥」

「やっと、違う運命だと思った。陰陽師のゆきちゃんに会えたのは初めてで。ご両親の事、ゆきちゃん自身のこと、色々知って」



やっと、自分の身を自分で守れる力を持った、彼女に出会えた。
実戦を積めばもっと強くなると思って、戦にも引っ張っていった。



「将臣くんを応援したのも、相手が弁慶さんでなければ、それで運命が変わるならいいって思ったから‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」



肩を竦める動作をただ見ていると不意に思った。

望美が何度も彼女の死を繰り返した事は、真実なのだと。



「‥‥‥‥でも、ダメでした。ゆきちゃんは、弁慶さんを真っ直ぐ見ていた」

「ゆきは最初、僕を見ていませんでしたよ」



でなければ、あんなに必死に手に入れようとしなかっただろう。

望美も知っている筈だ。
ゆきが見ていた視線の先には‥‥‥。

けれどこの先を言う訳にはいかない。
他の者が、譲が、いる前でゆきが誰を見ていたのか、言うつもりはなかった。



「‥‥‥本当に分からないんですか?あなた達は初めから‥‥‥」




特別だったのに。





望美の声がやけに響いた。




 
 


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