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‥‥‥ガシャン。
金属音が耳に響く。
「‥‥んぅ‥‥‥‥」
身体が重い。
瞼すら開ける気力が出なかった。
「‥‥‥ですわ」
「‥‥‥さま、では‥‥‥‥」
「いいえ‥‥‥貴方にはまだ‥‥‥‥‥‥」
誰かが話してるのに、耳鳴りがして聞き取れない。
(‥‥‥部屋じゃない‥?)
京邸に宛てがわれた自分の部屋には、お気に入りの香の匂いがしていたから。
此処は、その匂いが皆無。
(‥‥‥だったら、ここは‥?)
頭、痛い‥‥‥。
「‥‥‥鎌倉殿がお呼びでしたわね。お行きなさいな、景時」
「はっ」
(景時さん?‥‥‥‥‥‥ああ、そっか‥‥)
全身が重たくて、麻痺したように動かない。
誰かが、近付いて来る気配。
(‥‥‥‥‥‥っ)
肌を刺す威圧感と
得体の知れない恐怖が。
頭を撫でるその手は母の如く優しいのに。
‥‥‥‥‥‥全身に戦慄が走る。
「まだ眠っていて下さって、構いませんのよ」
優しく語り掛ける女の声は、けれど呪力を持ってゆきを眠りの淵に誘った。
墜ちてゆく意識の中で、ずっと
祈る様に名を、呼び続ける。
ACT39.無明の虚空
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