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「私は、白い龍だよ‥‥‥将臣には分からない?」
きょとんとしている姿は、確かに小さい白龍とよく似ている。
‥‥‥とは思うものの、素直に頷けない。
「白龍の力が強くなったんだよね!」
「うん。だけどまだ、完全ではないよ」
ゆきは、青年が白龍だという事に、すぐ気付いた。
彼の身を包むのは白い神気。
どれほど強くなっても、眩くなっても、その質は変わらないから。
汚れなき純白の、それでいて慈愛に満ちた優しい神気。
神子である望美と同種の、癒しの波動。
彼の姿が変わっても、こんな気を放つ存在は他にいないのだから。
「ゆきちゃんのいう通り、彼は白龍だよ」
白龍の神子が言うのならば間違いない。
そう言うと、その場にいた彼らは落ち着きを見せた。
そして次に浮かぶ疑問。
なぜ大きくなったのか、の問いに弁慶が答えている。
今まで望美達が怨霊を龍脈に帰した事により、貯めた白龍の力が白龍の身に帰ってきたのではないか、と。
説明している弁慶達を余所に、白龍はゆきをじっと見る。
「白龍?どうしたの?」
望美の問いに、実に嬉しそうに笑った。
「力が強くなったからようやく分かったよ。ゆきは、懐かしいね」
「‥‥‥私が?」
「懐かしいの?」
「うん、神子。ゆきには、白い龍の加護が残っているよ」
ゆきも望美も眼をぱちくりさせた。
リズヴァーンも言葉の意味を考えあぐねて、静かに白龍を見る。
白龍は、慈しみを込めてゆきを見ている。
彼女に残る同族の気を、じっと読むかのように。
‥‥‥緊張は、いつの間にか離れた八葉の元まで伝わった。
注目を浴びている事を、当人達は気付いていないが。
「ゆきは、私の前の‥‥‥白龍の神子の娘だね」
「‥‥前の白龍‥‥‥?」
「‥‥‥先代の、という意味でしょうか?」
「うん。前の龍の、何人目かは分からないけど‥‥‥神子だった人だよ」
弁慶の確認に白龍は頷く。
一同が驚く中、何故かゆきだけが冷静に見えた。
だが、彼女をよく見れば気付いただろう。
瞳に漂う色。
(だったら、どうして‥‥‥)
龍神の加護があったのなら
どうして両親は死んでしまったの。
どうして同じ事故で、神子の母より私が助かったの。
この問いに、誰が答えられると言うのだろう‥。
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