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あなたと出会ったのは


運命の戯れだったのか







風火戯曲





「ここ‥‥‥‥学校‥‥‥?」


気がつくと、懐かしい場所に私は立っていた。

懐かしい、制服姿で。


「どうして‥‥」


あの時と同じ、渡り廊下に一人で立っていた。


私は夢でも見てたのか。

今までの全て、夢なのか。


「‥ううん‥‥‥違う‥‥」


涙が勝手に出て来て、視界を遮られるから手で拭おうとしたけれど。

手が、足も、全部が震えてきてどうしようもない。



今になって、身体が恐怖を思い出したみたいで‥‥





どうして私は戻って来たの。


『へぇ、風花って言うのか。可愛いじゃん』


なんであなたを置いてきたの。


『こっちに来いよ、風花』



私は、どうして






『風花』

『風花』





『‥‥‥ごめん‥‥‥風花‥‥』






「だからいやだって言ったのに!!」




叫ばなければ張り裂けそうだった。




雨音が、声を消してくれればいいのに。












 



「風花!こんな所でどうしたの?」

「お前、何叫んでたんだよ。でっかい声だな」


校舎から出て来た二人を見て、私は目を丸くした。



「なんで‥‥‥」



望美と、将臣がここにいるの。



「‥‥‥望美‥」

「風花!どうしたの!?何かあったの!?」



涙に気付いて、望美は私の肩を揺さぶった。



「望美‥‥将臣も、覚えて、ないの‥‥?」

「何の事だよ」


訝しむ将臣を見て、私はまた涙が零れた。


「おい!風花!!」


しゃがみこんだ私にうろたえているのがわかる。


(将臣‥‥‥望美‥‥)


忘れてしまったの?





「先輩!もうすぐ授業が‥‥‥‥‥‥どうしたんですか風花さん?」


反対の校舎から、譲の声と走る足音が響いた。




「おい、風花?お前マジでどうしたんだよ?」

「そうだよ、風花‥‥‥‥‥‥‥‥‥え?」





望美の呟きに顔を上げると、白い見慣れた彼が雨に濡れて立っていた。



「白龍!」




「はく‥?風花、知り合いなんだ?」




もしかして、これって


最初に出会った時と、同じ‥?







「あなたが私の‥‥‥‥神子」




瞬間、大挙して押し寄せる水の咆哮に、私達は飲み込まれた。












あなたに会いに行く
もう一度



あなたを失わない為に




  


   
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