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嵐のように

無くして しまった 記憶が



関が壊れたように

怒濤の如く 湧き出て くる



‥‥‥清盛様
時子様

将臣
知盛殿
重衡殿
経正殿
敦盛殿
惟盛殿

平家の人達



なぜ忘れていたのだろう

彼らは私の家だったのに




私は

・・・私は


将臣と同じ



平家一門に救われた



あなた達の敵方だった

望美、







『ヒノエ』











 



 


『娘、そなたは門の前に倒れていた』

戸惑う私に、目を細めて頭を撫でてくれた。

『もう案じる事はない。今日から風花は、この清盛の娘ぞ!』


どんな存在だろうと、構わなかった。
例え怨霊であっても私に触れた手は暖かい。

・・・・・・優しく迎えてくれた、私の『父上』。






本当は一年半前に京に来て、清盛様の娘になったの。
ごめんね。
望美と出会う半年前だなんて、嘘。


『半年』だと言えば、「京に慣れ始めたばかり」と、余計な詮索はないだろうと思ったから。












『‥‥剣を、覚えたいと?』

『そうよ。私も平家の一員として、戦う術が欲しいの』

『女だからと、手加減はせんが‥‥』

『構いません知盛殿』

平家の滅亡を知っていたの。
どうしても、歴史を変えたいと思った。
少しでも強くなければ、源氏と戦えないじゃない。













『答えはノーだ』

『将臣!』

『お前まで背負わなくていい。俺一人で充分だ』

将臣の鋭い視線など怖くもない。

『馬鹿な事言わないで!!私も歴史を知ってる!このまま黙って見てられる訳ない!!』

『風花!!』

引き下がらない私に、重衡殿は刀での勝負を提案した。

『・・・・悪ぃ、風花。つい本気出しちまった』

『・・・は・・・ぁっ・・・・・・へいき・・・・・・・・』

負けた私は約束通り出陣を諦めた。
将臣に勝つまで、戦には出られない、との約束。

『お前まで戦う義務を追わなくていいんだ。平家は俺が守ってやるから』


‥‥‥違うの。
義務や責任なんかじゃないのに。










『源氏の神子?』

『ああ、宇治川で惟盛が相手したらしいぜ。随分悔しがってたな』

『将臣、それ本当なの?』

『クッ‥‥面白い‥‥』

『相当腕の立つと言うことでしょうか。厄介な相手ですね』

『そうね、重衡殿』



私達は知らなかった。


源氏の神子は―――――




 
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