(2/2)

 


「なんだか丈がすっごく短いんだけど‥」


「‥‥‥」


「てゆうかこれ、変じゃないかな‥?」


「‥‥‥」



和装ながら丈はミニスカート位。
黒で地味に見えがちだが、ゆきの身体のラインが浮き出ているから決してそうは見えない。

そして、女房に頼んで作らせた白いエプロンは、襞をふんだんに使ったもの。



不安そうに俺を見上げるゆきの出で立ちは言葉を忘れさせるには十分で‥‥。










男なら誰でも夢見たことのある「好きな女のメイド姿」








「将臣くん、何か言ってよ」


「ん?ああ‥‥‥」



我ながら情けない返事。

ただただゆきを熱心に見つめるしかなくて。

そんな俺に不安そうな表情で見上げてくる。












‥‥‥‥今、その顔は本気でマズい。












「や、やっぱり変だよね。ごめんね、せっかくくれたのに似合わなくて」



沈黙を誤解したのか。

ゆきが、俯き加減にエプロンを解こうとするから、俺は慌ててその手を掴んだ。



「ごめん」


「‥‥‥っ。ううん、私こそ似合わなくてごめ 「そうじゃねぇよ」」


「だってそうなんでしょ?難しい顔するから‥」


「違うって‥‥‥‥‥ヤバいんだよ。お前、似合いすぎ」


「‥‥へ?」







うっすら涙を浮かべて、困った顔で。






可愛すぎる俺だけのメイド。





「可愛い」


「あ‥‥」



俺は少しかがんで片腕をゆきの膝の裏へ、もう一方の腕で背を支えた。
身体を起こして、ゆきを抱き上げる。


「やぁっ‥‥」

「心配しなくても落としゃしねぇよ」



軽い身体。
頬を寄せれば触れる、柔らかい髪の感触。
ふんわりしたゆきの匂い。


ゆきは顔を赤らめなが、おずおずと俺の首に両腕を回した。



「‥‥すげぇ可愛い。約束、守れそうにねぇな」



「変なこと」はしないって約束、無理そうだ。



「ええっ?将臣くん!?」


「御主人様」


「‥‥‥へ?」


「お前、今のカッコ見てみろ」



腕を回したまま自分の姿を見たゆきは、更に泣きそうな表情になった。



「‥‥‥ううっ」


「御主人様、だろ?俺のメイドさん」









「‥‥ごっ‥‥しゅじ、んさまっ‥‥‥んぅっ」








噛み付くようなキスをする。




どうやらゆきは、俺を刺激するテクを持っているらしい。


とか考えながら、紅潮していく頬や耳元に唇をずらしてキスを落としていった。



「んぅっ‥‥待って、ま‥おみ、くん‥‥‥」


「違うだろ?」


「‥んっ。ご主人様‥‥‥」


「やればできるじゃねぇか」




我慢できなくなって、床に降ろして組み伏した。

床板は堅くてゆきの背中が痛むかと過ぎったが、悪いけど、移動する余裕はない。



好きで好きで、この熱を沈めたい衝動に突き動かされて顔中にキスを降らす俺。

ゆきの手が弱々しく俺の胸を押すから、動きを止めて‥‥‥顔をじっと見つめた。



「お誕生日おめでと‥‥‥あのね」



照れた笑顔で、熟れた果実のような唇は誘うように半開き。
それが妙に色っぽくて、ゾクリと背筋が震えた。



「なんだ?」


「あのね‥‥‥‥今日は、お祝いだから、その‥‥‥す、好きにして、いいよ」


「‥‥‥っ!?」
 











ああ。

俺は幸せ者だな。










「‥‥‥‥サンキュ。好きだぜ、ゆき」








その後の俺はといえば、言葉どおりにゆきを「好きに」しまくった挙句、最高の誕生日を過ごした訳だけども。

翌日には褥から出られないと嘆く、全身が痛んで声も枯れてしまったゆきの冷たい視線を浴びた。



それでも、キスをして「悪ぃ‥」と謝れば、少し困って笑う。


「いいよ、そんな将臣くんも嫌いじゃないから‥‥」


「‥‥‥んな顔してるとまた襲うぞ」


「ば、バカぁっ!!」













笑ったり、泣いたり


困った顔を浮かべて まっすぐ見てくる




お前は気付いてないんだろうな



















本当に囚われてるのは、

俺のほうだと





My Lord
僕の支配者






 

prev  
BACK

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -