「ごめんね。うちの子、知らない子にはちょっと警戒しちゃうんだよ」

またね、と男の子に言って、アオイを腕に抱き、立ち上がる。

男の子も立ち上がって避けられたことに対してか不満そうな顔を見せたが、カカシは構わずその場を立ち去った。

まだ小さな男の子に難しいことを言っても分からないだろうし、このままここにいるとアオイに変にチョッカイを出されそうで嫌だったのだ。
きっとアオイが可愛いから構いたかっただけだろうが。





「おかえり!早かったな」

「ただいま」

家に帰ると、アオイを受け取りながらナルトが笑顔を見せた。

「あれ、アオイ手ぇ汚れてんじゃん。何して遊んでたんだよ?」

「公園で砂遊びした後、火影岩の辺りまで行ってブラブラしてた」

「へー。……なんか髪型変だってば」

「乱れてたから結び直したんだよ」

「爆睡してるし、よっぽど楽しかったんだな」

そう、ナルトの手に託されたアオイは今はもう熟睡し、完全に脱力しており、口からはツツ……とだらしない涎も垂れている。

「サンキュー、カカシ先生。今日は本当ゆっくりできたってばよ」

「そりゃ良かった」

アオイをベッドに運ぶナルトの後ろ姿に答えた後、カカシは少し考えて口を開いた。

「……ナルト。近くに公園あるじゃない。あそこいつも行ってる?」

「ん?行ったことねぇ。なんか若い母ちゃんとかばっかりだから行きにくいんだってばよ。アオイと公園行く時は、もう少し離れた人の少ないところに行ってるけど……、なんで?」

「いや、……だよね」

そうと知っていればカカシとて行かなかったのだが、今日は随分辱めにあった。
お母さん連中にジロジロ見られたことを思い出し、苦笑いして、でもそれよりも……。

「ま、ならいいんだけど、これからも近い方には行くなよ」

「うん。でもなんで?」

「アオイにチョッカイ出す男がいるから」

「は?」


ここだけの話、

(……なんかあの子、ちっさい頃のサスケに似てたんだよね)

アオイに構ってきたあの男の子。

あの黒髪や整った顔立ちもだが、どこか高圧的な態度が七班時代のナルトに構っていたものに似ていた。
だから尚更関わらせたくなかったというのがある。

可愛い娘によその男の手垢をつけさせてたまるか。


その後、アオイが誘拐されたり変な男に手を出されたりしないよう、もう少し大きくなったら早めに忍術を教える、と言い出したカカシに、親バカすぎる……とナルトは呆れてものも言えなかったという。














END(20110330)






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