「ん、んは…」

ナルトが苦しそうに息を吐いた。

苦しいのも無理はない。
カカシが与える口付けは次第に貪るようなものになり、息継ぎする余裕すら与えない。
食むようにして何度も唇を重ね、腰をひいたナルトを抱き寄せ引き寄せて、キスを続けた。

──足りない。
もっと、と思えて。

ナルトに顎を押されて唇を離したその頃には、そのものずばりキスなんかじゃ足りなくなっていて、その手をとってそのまま自分の下腹部のその下へともっていった。

「ナルト、触って…」

「え」

熱を孕んでいるカカシ自身に触れさせると、ナルトが目を丸くした。
当然の反応だ。
どうしていいか分からないという風にカカシを見上げ、頬を染めて伏せた睫毛を震わせる。
それに尚興奮する自分は、本当にヤバイかもしれない。
ヤバイ、というか──…

「カ、カカシ先」

「ね……、触ってて。そのまま」



(手遅れだよ、本当に…)

多分、というか間違いなくそういった経験は全くないナルトにヌかせるなんて。
ナルトが帰った後で、ベッドに腰掛けたカカシは頭を抱え、やり過ぎたと溜め息をついた。

でも、本当は、本当の本音は、帰したくなかった。
それだけじゃなくて、繋がりたかった。
一応、これでも我慢した方なのだ。

日々募っていく情欲は成長を止めず育っていくばかりで、今やナルトに対して仲間としての感情はゼロになっていた。
他の人間と無邪気に笑っている笑顔すら自分だけのものにしたくて、欲情する。
溢れそうになる劣情と今までにない愛しさ。
自分でもコントロール出来なくなりつつある。

(怖がらせないようにしないと……)

たまに、ナルトが少し怯えているような様子も感じとれる。

あまりに大人の欲望を押し付けて、怖がったナルトが離れていってしまっては……
ナルトをもう自分の傍から離したくないからそう思う。

限度なくのめり込んでいく自分自身に、今ではもう、どちらからの告白で付き合い始めたのか分からないほど。
ある意味、タチの悪い、中毒性のあるものに引っ掛かっちゃったかも…と苦笑してカカシは窓の外を見た。



翌日、任務で目にしたナルトの様子は少しおかしかった。
カカシをあまり見ようとせず、俯いてばかりいる。

「少し休もうか」

小休憩を入れたのは、班全体の為というよりナルトの為だった。
もしかしたら、具合でも悪いのかもしれない。

サクラやサイの目から逃れるようにナルトの手を引き岩陰に入る。
…厳密に言えば、心配なのは勿論だが、二人きりになりたいという下心も少々あった。

「大丈夫か…?具合悪い?」

それまで片手では足りない数の女性と付き合ったこともあるカカシなのに、内心、こんなにも甘い声で相手に問うたことはあっただろうか、と自分でも笑ってしまうほど甘い口調でカカシはナルトに訊いた。

「だ、大丈夫だって、先生…」

お互いの額を触れ合わせると熱はないようでホッとしたが、ナルトは慌てたようにカカシの胸板を押し返した。









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