勿論、それは演技だ。 男が持っているのは、最初からわかっている。ここからが肝心だ。 「それは、ワシが持っている。本当に何でも言うことをきくのか?」 「まさか…。信じられないです、そんな都合のいいこと」 「本当だ。見せたら今の夫と別れてワシの妻になるか?」 「な…」 こんな男の妻になるなど演技でも頷きたくない言葉だ。 だが、背に腹は帰られない。 「なります…」 小さく言うと、男はニヤリと口角を上げた。 「では、先にお前を頂くことにしよう」 いやらしく言って、ナルトの服に手をかけてくる。 (んげ) 「ま、待って下さい。密書が先です!」 勢いで着物の襟元が裂けて、ナルトはそれを庇って後退った。 「いいのう、嫌がる様子が余計にそそられる…。心配せずとも後で見せてやるわ」 「でも、もし嘘だったら…?」 ナルトが眉を寄せて言うと、男も眉を寄せた。 「意外とうたぐり深いな、娘。…密書はワシの書斎の机の引き出しに入れてある。本当だ」 「書斎の机の引き出し…?」 やった。これで任務は完了だ。 きっとカカシがどこかで聞いているはず。 (やったってばよ…) 喜びに胸を打ち震わせていると、「だが」と男が続けて立ち上がった。 「勿論、鍵をかけているがな。鍵の在りかはワシしか知らん」 「………」 「在りかを知りたいか?」 コクン、と頷くと、男は自分の衣服に手をかける。 (…え?) ポカンとするナルトの目の前で、男が取り出したのは、自分の育ち切った一物だった。 それは、すっかり反応して天を仰いでおり、他人のそんなものを見たことがあるはずもないナルトはリアクションもとれずに呆気にとられてそれを見る。 「…舐めろ」 「は?」 「舐めたら教えてやってもいい…」 見られて興奮するのか、ハァハァと息を荒げ、ナルトを見下ろして言う男。 (え?舐め…) ナルトが男の顔とソレを交互に見比べた時。 タン、と音がして男が横にグラッと傾いた。 (へ…) 目を見開くナルトの目の前で、白目を向いてドサッと倒れ、残ったのは一つの影。 「何してんのよ、お前は…」 「カカシ先生」 低く言ってナルトを見下ろすのは、先程部屋から退場したはずのカカシだった。 状況から察するに、首筋に手刀をくらわせ気絶させたらしい。 だが、今何やら聞き逃せない言葉があった。 「え、何って、めちゃくちゃ頑張ったってばよ俺!」 「…もういいから、変化解いて」 機嫌の悪そうなカカシに腕を掴まれて立ち上がる。 「でも、変化解いたら出れなくなるってば」 「どうせこの状況じゃ表からは出れやしないよ。早く解け」 「……」 仕方なく印を結んで変化を解くと、小さく息を吐くカカシにナルトはいきなり抱きしめられた。 「え?ちょっ」 「…ったく、勘弁してよ…。やっぱりお前にやらせるんじゃなかった」 首元でごちるように呟かれてクエスチョンマークが頭に点滅する。 「??…ちょ、先生、密書!密書どうすんだってばよ!?鍵が」 「ああ、コレ…?」 「え?」 言われて目をやればカカシが左手に持っているのは、確かに密書と呼ばれるソレだ。 前へ 次へ戻る6/12 |