「…嘘はついてないだろ?」 見下ろすカカシはナルトの頬に手を這わせながら言った。 「お前はすごく強い心を持ってるし、この瞳も金髪も…とても綺麗だよ」 ナルトからしてみれば、もし立っていたとしたら卒倒しそうな台詞である。 今既にベッドに倒されていたことが幸いだった。 …いや、本当にそうなのか。とりあえず健全ではない上に心臓に悪い。 ――ああ、本当に馬鹿過ぎる。 『俺はね、本人に言う気はないのよ』 カカシは確かにそう言ったのだ。 それなのに、その恋を追い立て、励ましたのはナルト自身。 「…ナルト、俺と付き合ってよ」 「や…、あ、あのさ、カカシ先生…」 「ああ…、お前の言葉を待つ気はないよ。無理矢理にでも付き合ってもらうからね」 お前が言ったんでしょ?そうしたらその内、俺のこと好きになるかもしれないって。 冗談ではない、本気な声色のカカシに眩暈がする。 (マ…、マジかってば…) 確かに言ったけれども、あれはそんなつもりではなくて。 なんて、いくら今更言っても取り返しはつかないのだろう。 もはや聞き入れられないであろう言葉たちを思う一方で、他に自分が何を言ったか頭を巡らせる。 それを思い出すより早く、微笑んだカカシが言った。 「――ナルト。もし周りが認めてくれなかったら一緒に里抜けしような」 …まさか、カカシの恋が自分の人生を巻き込んだものになるなんて。 単純明快なナルトの思考回路がその行動によって導いたのは、複雑極まりないカカシとの禁断愛の始まりだった。 END(20090315) 前へ 次へ戻る7/7 |