「や…、それは流石にないと思うんだよね…」 「そんなの言ってみねーとわかんねーだろ!?俺なら、好きな相手ができたら絶対好きだって伝えるってばよ!!」 「んー…」 それでも、カカシはどうにも乗り気にはならない。 一体何がそんなに引っかかっているのか。 ナルトはもうもどかしくて堪らなくなった。そんなわけで。 「カカシ先生さ、結構カッコイイじゃんか!(口布外したの見たことねーけど)、それに強いし、優しいし!!絶対上手くいくと思うんだってばよ!断るやつなんているわけねーってばよ!!」 「……」 「とにかく、その相手は今付き合ってるやつはいねーんだろ!?だったらとりあえず無理矢理にでも付き合っちまえばいいじゃん!!そしたらその内、その人だってカカシ先生のこと好きになるかもしれねーしさ!そんで周りがあーだこーだ言うようなら駆け落ちでも何でもしちまえばいいんだってばよ!!」 …気づけば、勢いにのって少しばかり……いや、かなり言い過ぎたかと思う。 だが、それもカカシにもっと勇気を持ってもらえたら、と思うが故の熱い言葉たちである。 そんなナルトの熱意溢れる説得は見事、カカシの心を少しばかり動かしたらしい。 口に手を当てて考えるようにしていたカカシは「そうかな…」と小さく呟いた。 「!そっ、そうそう!そうだってばよ!!」 やっとその気になってくれた、と嬉しく思い、ナルトは目を輝かせて。 「上手くいくと思うか?」 「思う!!絶対大丈夫だってばよ!!」 カカシの言葉にも拳を握りしめ、笑顔で返した。 辛そうで切なそうなカカシがもどかしくて見ていられなかった。 だから、カカシがその気になってくれたなら、万が一カカシの恋が上手くいかなかったとしても、ナルトはそれを見届けようという覚悟もあった。 「そうだな…、言うよ」 「おう!頑張れってばカカシ先生!!」 すっくと立ち上がるカカシにナルトも腰を上げ、ガッツポーズする。 行って来い、と思いきり送り出してやろうと思った。 のに。 何故か、カカシの目が向けられたのは他の誰でもないナルト自身。 「――好きだ」 「………は、…ぇ?」 「ナルト、ずっと好きだった」 切ない目をして近づいてくるカカシに、何が起こったのかわからず、とりあえず逃げようとした結果、ベッドに押し倒され手足をカカシの体重によって固定されて… 数秒後、ナルトは身動き一つできない状態という惨状に陥っていた。 「…お前、逃げようとするなんてヒドくないか?」 「……」 答えられないナルトは別に無言を気取っているわけではなく、何か言おうとはしているのだが、口をパクパクと動かすだけで言葉が出てこないのだ。 覆い被さるカカシは、ナルトの顔に銀髪がかかる程の至近距離だ。 だって、まさか、誰が思うだろう。 カカシが切ない胸の内を語った想い人が、自分自身だなんて。 「カ、カカカカシ先」 「…何」 「すっ…、好きな人は…、強くて綺麗な人だって…」 驚きのあまり、ナルトは息もうまく接げず喘ぐようにして言う。 …そう。カカシは語りながらナルトに言ったのだ。 だからナルトは、当たり前だが、カカシの想い人は女性だと信じて疑っていなかった。 前へ 次へ戻る6/7 |