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けもカカナル2




背後から近づいたものの、途中で、いつものやつをしようと思いつき、一度引っ込んで先回りする。

「あのォ〜すみません」

横道から顔を出したナルトに、男は目を丸くして足を止めた。
ナルトは、人間の女に化けていた。
齢の頃、十代後半から二十代。見目よくスタイルもいい美女だ。
ナルトの考察によると、人間の男は揃いも揃って色気のある美女に弱かった。逆に、女は見目よく爽やかな男に弱い。
男はどいつもこいつも鼻の下を伸ばし、女は目をハートマークにして骨抜きになる。
その後でナルトが変化を解くと、みんな一様に口をぽかんとさせたり、悲しがったり怒ったり。
ナルトはその様がおもしろくて、毎度腹を抱えて笑っては尻尾を巻いて逃げていた。
今回も然りか。

「道に迷ってしまって、ご一緒してもいいですか?」

上目使いでしゃなりしゃなりと寄って行って訊けば、男は「ああ、別にいいけど」と涼しい顔で答えた。

「この山の麓まで行くの?」

「そうなんです」

「なら、オレもだからちょうどいいね」

にこりと笑った男は、他の連中と違ってナルトの姿に鼻の下を伸ばす様子はなかった。
隣を歩きながら、どういうことだってばよ……とナルトは眉をひそめる。
好みのタイプじゃなかったのだろうか。

(いや……待てよ)

ひとしきり考えたのち、ナルトは更なる秘策を練った。

「あっ」

「……ん?」

「少し、足をくじいてしまったみたいで……」

あからさまにつまづいたふりをし、うずくまって、くるぶしを押さえる。
寄って来た男に――絵にすればウッフ〜ンと擬音がつきそうな様でこれみよがしに太腿までさらけ出すと、男は瞠目して軽く動きを止めた。



続く
ss 2014/07/08 23:25
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