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※和泉さんのお話です 残念ながら礼は出番なしです でも和泉にとっては大事なことなので載せちゃいます 曖昧に書いてるので多分分かりにくいです あと、27が熟女か?と言われるとアレなのですが…… 見直ししてないので誤字脱字あるかもしれません ご容赦くださいm(__)m それでもおk! という勇者様どうぞ↓ 「しっつれーしまーす! いずちゃーん!おはよー」 ノンキな声に振り向くと、ニコニコ笑顔のバカがいた。 「今日はなんだ?」 「カッターで指切ったぁ」 ぎゅっと握ったままの手を振る女子生徒。 「っ、なんだよケガかよ早く言えよバカ!」 「いずちゃんいずちゃん」 「ん?」 「なんで保健の先生になったの?似合わないよ?口悪いし」 「うっさいよバカ 理由はあるよ言わないけど」 そう 理由はある ―――20年前 「せんせー」 「ん? 和泉ちゃんかぁ、なに?」 「ベッド貸してください」 「また寝不足なん? 大変なのはわかるけど、ちゃぁんと夜寝んと、背ぇ伸びひんよー?」 「寝ても今更伸びないよ」 「いーえ、二十歳までは伸びるんよ!せんせは19で2センチ伸びましたー ま、和泉ちゃんは小さくてもかいらしいから、せんせはどっちでも好きやけどー」 そんな簡単に、好きって言わないでよ 本気じゃないって、あくまで生徒だって、いやなこと突き付けないでよ 先生 「……どうでもいいから、寝かせてください」 「和泉ちゃんのいけずー」 普段は訛らないように気をつけていたけど、だいたい失敗した先生。 その、歌うようなやわらかい京言葉が心地よかった。 たれ目の優しい眼差しが、長い髪が、白い肌が、落ち着いた声が 愛しかった。 ボケてるところも、実はズボラなところも、見た目に反しておっちょこちょいなところも すべてが美点に思えた。 先生に会えるから学校に行った でも、先生はいなくなった たった一枚の手紙だけ残して 《 和泉ちゃんへ 突然のことで、驚かせてしまったならごめんなさい。 先生は、学校を辞めます。 和泉ちゃんと仲良くなれてよかったです。こんなこと先生が言ったらいけないのでしょうけど、生徒のなかで和泉ちゃんが一番かわいかった。だから、和泉ちゃんのことが心配です。 先生がいなくても、誰にも言われなくても、ちゃんとご飯食べて、しっかり睡眠とってください。 和泉ちゃんが、もしも先生を、少しでも気に入っていてくれたなら、私のお願いを聞いてほしいな。 あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一度の逢ふこともがな またね、和泉ちゃん。 先生より 》 詠は、よく母さんが口にしていたもの よく知らないけど、もう一度会いたい、という意味らしい。 会いたいって、もう会えないからそう願ってるの? 先生…… ここまでが当時のこと 詠の本当の意味を知ったのは、少しでも先生に近付きたくて、先生と同じ、養護教諭になってからだ。 生徒が、百人一首を覚えると言ってぶつぶつ保健室で頑張っていた。 そのこは、本から顔を上げずに話しかけてきた。 「ねぇ、先生」 「なに?」 「和泉式部って、恋多き女とか、浮かれ女とか言われてたけど、どんな最期だったんだろうね。 あんな詠を残すなんて、淋しく亡くなったのかな」 「あんな詠って?」 「ほら、これ。一番有名なやつ」 そのこは本をアタシに見せてくれて、 そこには、あの詠があった。 あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今一度の逢ふこともがな―― この詠は、死にゆく和泉式部が、多分、恋人に向けて詠んだもの。 つまり、先生は……… それからアタシは、必死になって先生の『あれから』を調べた。 母校に連絡して当時の教頭(校長はもう亡くなられたと聞いた)に会って、先生が自分の身体のこと、病気のことを知って辞表を出したことを聞いた。 休暇の度に京都に行って、先生の生家を探した。 やっと見つけたのは、詠の意味を知った3年後 あの時の先生を追い抜いてしまうまであと少し もうすぐ27歳になる春だった。 「……姉の部屋にあったものはすべてこの家にあります――ご覧になりますか?」 先生の弟さんは、優しげな目許が先生と似ていた。 でもやっぱり当たり前だけど、先生とは違った。 「………いいんですか?」 「はい。此方へどうぞ」 彼に続き磨き上げられた廊下を進んで入った部屋には、ほとんどものがなかった。 「……姉は、自分で大体の荷物を処分してしまったらしくて…」 申し訳なさそうに言う弟さん。 気まずさに耐えかねて部屋を見回すと、机の上にきれいな箱があった。 「あの、…あれに触っても?」 「えぇ、どうぞ」 和柄の……高級そうな、多分和紙の箱。 紫陽花の模様が涼しげなその蓋を開けると 小さく折りたたまれた紙。 ひとの心を勝手に覗くことの罪悪感に胸がチクリと痛みを訴えたけれど、指が自然とそれを開いた。 《 見つけてくれてありがとう 六月生まれの君に 私の精一杯の思いを捧げるよ どうか、どうか幸せになってください 》 たったこれだけ アタシ宛てかもよくわからない でも、確かにアタシは6月生まれで。 紙の下には深い緑色の石が輝くピアスが片方 淋しげに入っていた 「………これ、は…?」 「…おそらく、姉はあなたに向けてこれを遺したのでしょう。 私に宛てた手紙に、『小さくてかわいい子がきたら渡して』とありました。あなたでしょう?」 それからアタシは ずっとそのピアスをつけている 家のゴタゴタに苦しんでいたアタシに、おおっぴらじゃなくそっと手を差し伸べてくれた先生。 それを忘れないように 先生のような優しさをもてるように その後宝石店で見てもらった緑の石は、 アレキサンドライト 6月の誕生石だった 宝石言葉は 『秘めた想い』
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