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ネタバレ 病んでるかもしれない





「ごめんね?本当は軟禁なんてするつもりはなかったんだけれど……」
申し訳なさそうに謝る探偵王子。その手にはコンビニの袋。異国の王子様のようなよくわからないコスプレ……は今は置いておくとして。謝るなら家に帰してほしい。幸い拘束はされていないものの、この豪華な客室のような場所から一歩出れば異形の化け物が廊下を闊歩している。明智がどうやってここに来てるか、あるいはどうやって私をここに連れ込んだのがは知らないが、身を守る術を持たない私はこの部屋から出ることができなかった。
どうしてこんなことになったのだろう。警察官だった父が春先に突然の単独事故を起こし同乗していた母と共に亡くなって、経済的にも精神的にもズタズタだった私の傷を埋めるように明智吾郎は現れた。よくしてくれる彼に何故ここまでしてくれるのだと理由を聞けばお父さんにはよくしてもらっていたからその恩返しとのことだった。今となってはそれもどうだか。精神暴走事件という言葉も引っかかる。
「まさか君が彼と関わることになるなんてね」
彼、とは誰を指しているのだろう。最近話す機会が多くなった、いつも黒猫を連れている同級生の彼の姿が思い浮かぶ。そういえば例の番組で彼は明智と論じ合っていた。が、これを考えたところで今この状況がどうにかできるわけでもない。

「宝物は大事にしまっておけって言うでしょ」
どこか翳のある笑みを見せる明智。彼には彼でなにかあるのだろう、思わずそんなふうに同情しかけて首を振る。こんなことになった今となっては明智吾郎を知る義理なんてなかった。

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