六月も後半。日も延び、梅雨特有の湿気がジメジメとした暑さをもたらす。
そんな中、巌戸台分寮は今、南極のように凍りついていた。
五人の視線がミコトへと向く。理事長元凶を止めてくれ。そんなメッセージをひしひしと感じる。

可能ならミコトだって止めたかった。怪しいくらいに上機嫌で帰ってきたから何事かと思えばこれだ。気付いたら車に乗せられて、寮の入り口に立っていた。
ダジャレ二十番勝負。最近は真面目な話ばかりだったからとと、ほぼほぼ善意で披露されたそれを悪く言えるはずもなく。それに幾月は理事長で、嫌々聞かされている面々はその学園に通う生徒だ。
身内であるミコトならと一縷の望みをかけられたが。
「ごめん……」
変に止めさせて改めて家で披露されるくらいならまだここで大放出されたほうがマシだった。いわば道連れ。一連托生。

場の空気なんか読まない幾月修司は次々と渾身のダジャレを繰り出す。まだ帰宅していない有里が羨ましいと、皆がそう思った。


20190624


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