(4/5)
  希望の光を彼の森に4



「姉ちゃん!」
「カムイ!」
巨大化していたファルコが元の大きさに戻っていき、カムイがそこから飛び降りてカームに駆け寄る。
しかし、カームに近づいたところで頬を何かが叩いた。
「なんで…なんで逃げなかったの!」
目の前には今にも泣きそうなカームの顔があった。
「だって、姉ちゃん置いて逃げるなんて出来なくて…」
「全く…本当、無茶して……」
カームは少ししゃがんでカムイを優しく引き寄せ、大切な弟の無事を確かめるようにぎゅっと強く抱き締めた。
「姉、ちゃん…?」
「ありがとう、助かったわ…いつの間にあんなこと出来るようになったの?」
腕の中のカムイを讃えつつ、疑問を口にした。
「分かんない。とにかく姉ちゃん助けたくて必死で…」
「それで、かな。さっきの、優しい何かに包まれて力が沸いてきたのは」
その優しい心にファルコが応え、力を貸したのかもしれない、と。

「少しは、役に立てた…かな?」
カムイはカームに問いかけてみた。
「そうね…でももうあんな無茶したら、駄目だからね……絶対」
カームの頬を温かいものが伝った。
それはカムイの肩を濡らし、言葉にならない思いを伝えた。
「…さっ、帰ろ」「……うんっ!」

手を繋ぎ、自分達が住む里に向かって歩き始める。
いつの間にか射し込んできていた暖かい陽光が、二人が歩く森の中を明るく照らし出していた。






(  )




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -