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  希望の光を彼の森に2



深い闇の中から現れたそれは、漆黒の鎧を見に纏ったカマキリのような見た目をしている。
そこに煌めく甲虫の頭を模したようなシンボルマークが表す意味、それは…
「イ、ンヴェル…ズ……!」
そう、そいつはミストバレーに突如現れた侵略者の一人、マディスだった。

「ガスタの娘と餓鬼か…」
「…ここは私達の土地よ、出ていきなさい!」
そう言うと同時にカームは風を巻き起こし、マディスに疾風の刃を叩きつけた。
「くくく、効かんなぁ…」
カームの攻撃は全く聞いておらず、マディス漆黒の鎧には傷一つ付いてはいなかった。
カームはカムイを背中に庇う形でマディスから距離を取る。
そして後ろで身構えるカムイに、
「…カムイ、逃げなさい」
と一言、静かに告げた。
しかしカムイは怯えながらも、
「い、嫌だ!僕も戦う!!」
と言うことを聞かない。
「私たちで勝てる相手じゃない!あなただけでも早く逃げてっ!」
自分達とは格が違う相手と知りつつもどうにかカムイを逃がそうと必死なカームにマディスは言い放つ。
「殊勝な娘だな。だが、逃がすと思うか?」
マディスが手をかざすと禍々しい何かがカームに向かって放たれた。
「きゃああああああっ!!!」
「姉ちゃん!!」
「うぅっ……」
カムイは倒れ込むカームに駆け寄ろうとするが、マディスに睨まれ身動きが取れなくなってしまった。
「次はお前だ、小僧」
「カムイ…にげ、て……」
「嫌だ!姉ちゃんを置いて逃げるなんて絶対嫌だっ!」
力の差を見せつけられ怯えつつもそれを敵に隠そうと必死で強がろうとする。
「ふんっ、私に勝てると思っているのか?」
「くっ…」
「カムイ…」






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