「ウィンガルさんいい腰してますよね触っていいですか」

「却下だ」


あ、反応帰ってきた。
難しそうな本を読むウィンガルさんの後ろ姿を見つめ、私はほんの少し驚いた。何時も通り無視されると思っていたのだ。ちょっとは私の想いに気づいてくれたのかな、なんて考えてちょこちょことウィンガルさんの後ろに移動する。焦がれ続けた美しい腰は目の前にある。


「おい腕を伸ばすな」

「ちっ」


さすがは四象刃…気配にも敏感だ。
あと数センチの所で止まった腕を見下ろし私は葛藤した。引き戻すか否か…今日のウィンガルさんは機嫌がいいようだしもしかしたら怒られないかもしれないぞ。やってみろよ。頭の中で本能が囁く。そうだね本能。せっかく巡ってきたチャンスを無駄には出来ないよね。
気分は歴戦の戦士だ。構えて腰めがけて突撃する。


「うぎゃ!」


人生そう簡単に上手くはいかないものだ。
パシンと良い音が鳴ったと同時に頭が痛み出す。本気ではないにせよ男の人の力だ。頭を押さえうずくまるとウィンガルさんがはあ…とため息をついた。


「何時まで経っても学習しない奴だ」

「うう…だってウィンガルさんの腰むちゃくちゃ綺麗じゃないですか…まじ女顔負けですよ、てかウィンガルさん顔も綺麗だし実は女だったってオチじゃないですよね?だったとしたら超貧乳かーそれはそれで私としては萌えるけど…って、あ」


肌を刺すような気配に肩がぶるりと大きく震えた。
やばい、ウィンガルさんの言う通り私って学習能力ないんだな…。口から飛び出てきそうな心臓を抱え一歩一歩、気配を殺して扉に向かう。まあ、ウィンガルさん相手にこんなの意味なんてなかったのだけど。


『ナマエ!?』


でた…!!
視界の端に白髪を捉えた瞬間、私の足はふかふかの絨毯の敷かれた床を蹴った。
逃げ惑う私と追いかけるウィンガルさん…こうなると止められるのはガイアスさんかジャオさんしかいない。


「(私それまで生きてられるかな…?)」


防寒対策のなされてる城内だと言うのにどうしてこうも寒いのか。意味の分からない言葉と共に飛んでくる様々な物を避けながら私は声の限り叫んだ。


日本語でおk!!/111001