短編?読み切り?むしろネタ+毛? | ナノ


つまり、私はまさかの特質系なのである。

……でも何というか、最初は信じられる筈もなかった。
だってコレ珍しいんじゃないの?何で私が?俗に行くなら転生だのトリップだのの影響だろか。人じゃないから?それとも単に母に似たのか。…の割には、通常時も緋の眼時も特質系のままで特には変わらんそうだが。そもそもほんとに緋の眼になるのかすら疑問である。
そして一応まずはって事で四大行とかやる前に水見式をやらせて頂いた訳だが、緋の眼がそうなのだからゆっくりだったらしい精孔自体私はお父さんの知る私なようでもうその私ではないのだから開いてるワケなくね?って思ったんだけども、魔術を扱える人外の肉体って時点でそこは大丈夫だったらしい。魔力が身体に勝手に巡ってるから。
…てか、そうじゃなきゃきっとお父さんに「何で開いた筈の精孔が閉じてるんだ…」ってポカーンっつかガックリされてたに決まってるし。あのカオでやられるのも怖いだけだけど。

――そして、水見式は言う。
私は紛う方なき特質系だと。

それもそのハズ、お母さんの言う通り私の反応と来たらなかった。
まず見た目がヤバイ。私がグラスに手をかざして練すると、まず葉が跡形もなく消える。あ、もしかしてお母さんと同じ反応なのかなでもそれだとお母さんのアレだという発言と合わないぞとか思いながら見つめていると、ついで水が真っ赤になる。おやこれは放出系のハズでは?と更に見ていれば、今度はその水にほんの少しの粘度がつく。…え?これアレじゃね?とかピーンと来た瞬間だった。
ニオイまでつきやがったのである。因みにもしかして…と、人差し指でなめたら味もバッチリだった。
とある金属臭さ、人によっては感じるか感じないかくらいの甘さ、だけど私みたいな人間(じゃないの)にとっては勝手に脳が甘いと感じるというそれすなわち。

こうして私の水見式は、葉を消し水が血となるのが判明したのだった。

…と思いきや、その水つか血?がまるで強化系の如くざーっと増えやがる。お母さんが微妙な顔をした所以がコレだった。
何この大惨事!床にめっさ零れとるけどちゃんと落ちんの!?とあたふたしていると、横で見ていたお父さんはまだ練をやめるなと言う。まだなんか変化あんのかい!と見守っていれば、ついにはビキビキとかやーな音が聞こえてくる。今度は何事かと辛抱強く待っていると、溢れ出た水つか(略)が、凍ったのだった。で、ようやくフィニッシュ。とりあえず、一言。

長ェ。

……要するに、一言でまとめるなら、私は葉を消し水を血に変えグラスから溢れさせしまいにゃ全て凍らせる反応を見せる、特質系なのであった。

だから味見したいお方がいらっしゃるなら(嬉々として名乗りを上げるなんてのは私くらいだろうが)血になって凍り始める直前までがベストで猶予なワケだ。まあ凍ってからでも砕いて口に放り込んでみたらちゃんと味はしたんだけど。私の口の中冷凍庫以上だから中々溶けてはくれんがな。
…でも「あ、これいよいよ生き血に悩む必要なくなるんじゃね!?」と浮かれかけた私を地に落としたのは、コレも結局自分の練で生み出した産物に過ぎないから体力を消耗してプラマイゼロだってコトに気づいた自分自身だった。
ああ、コレ“も”ってのは、少々余談になるが生き血代わりに薔薇を喰らうとその子は枯れてしまう訳でして、だけども治癒術で元に戻しても結局治癒術で体力はおさらばするから折角吸った薔薇の精気もおじゃんして無意味に終わるって話でして。うむ、世の中は上手く出来ておる。悪い意味で。

そして、単に自身のイマイチ役に立ちそうで立たない水見式に凹んでる私をどう取ったのか周りがなんか大変なコトになっていた。主におとんが。
いつの間にかフォークにぐるぐると一皿分のスパゲッティ全てが巻き付けられてしまっている。オイオイ器用だな。ゾルディックだからか?関係ないか。そしてそのままじゃ確実に口には入らない。


「名前、やっぱり足の傷が痛むのか…!?さっきからそんなに落ち込んで」


ええ、全く役に立ちそうにない血液製造機な己の練つか両手、血の泉に。いやぶっかきか?至極どうでもいいけど。


「そんなの掠り傷でしょ。アソコのは毒は塗ってないんだからまだいいじゃない。お父さんは大袈裟なのよ」


お母さんはお母さんで辛辣ーぅ!ちょっとこれホントにお母さん?しかもなんか今おっそろしー単語混ざってませんでしたか?そういえば私のには感じないけどお二人さんのお食事からなんかイヤーなニオイが…え?ゾル家式?まじで?確か毒に耐性あるんだよね?お子さんらの中で約一人の銀髪美少年が仰ってませんでしたか?てか、お父さんのならまだしもお母さんのも?
てゆか、今日の晩ご飯フルコース並に量があんだけど…(私の修行開始記念だって。う、嬉しくねーッ!)もしかしてコレ、全部?で、もしやその内私のにもブッ込まれる、と?…え?

……とりあえず、こんな感じで私にはまだまだ(この世界的)両親はわからない事が多いのだけれども、どうやらこんなのは日常茶飯事らしかった。お父さんは過保護気味で、お母さんはスパルタな予感漂ってて。そしてお母さんは「またこれだわ」と言わんばかりにふうと溜め息をつくと、呆れたように言う。


「…こう言っては何ですけど、あの一家からどうしてお父さんみたいな一般家族というか、蝶よ花よレベルではあるけれどごく普通の感覚を持った人が生まれたのか、未だに謎だわ…」

「ゾルディック七不思議らしいぞ」


…なんか思ったんだけど、性格はやや丸いとはいえぶっちゃけお母さんのがゾルディックで育ったんじゃないの?って常識が些かナナメ上にイっちゃってそうに見えんのは気のせいだろうか。
「…にしても、たまには毒ナシのもんが食べたいナァ」とかおとん項垂れてんだけど。そして激しく似合わない。

そうしてついにはお母さんは、恐怖のネタをばらまいた。


「あらまあ。それ、どの子が言ったのかしらね?確か五人兄弟なんでしょう」

「賑やかそ…いや、あの家じゃそう仲良しこよしな訳もないな。まあ俺ぁ雲隠れしちまったから未だに面識はないが」

「あ、そうだったわ。あなたの事、子供達は知らされてないんだったわね」


へえそうなのか、とある意味新たな我が家事情をこっそりとしかししっかりと把握しつつ、とりあえず色々ハッキリさせとかなきゃ身が危ういなとか思った。

母クルタ族父ゾルディックそんで私娘な立ち位置は完全にわかったけど、それよりか両親の……というより、両親の今日(こんにち)に至るまでの背景を主に。
あと地理的な背景も。自宅のあるこの現在地が、ハンターはハンターでもどこの大陸または島でありどの国に属してるのかとか。とりあえずどんなに不便でも人間がそう簡単に訪れようと思わんような僻地とか秘境を希望する。てゆか何国いや山か?後で地図を参照するとして、とあるプロフェッショナル一族は普段全く人目を盗む気などないコトからしてそのお山からなるべく離れた土地ならどこでもいいや。

家から出たらたまたま歩いてたゾル家の誰かと遭遇とか考えたくない。


(2/2)
[back] [top]
- 15 -
×