● 777hitL ◇ Writer:すし猫


「忙しいのにわざわざ来てあげたんですから、お茶くらい入れて下さいよ」

と言いながら、伊綱は薔子の隣に座った。


薔子は困惑した表情で、突然現れた女性陣を見ている。


「私は紅茶がいいです。インスタントじゃないのをお願いしますね」


「私も」


「彩子さんも紅茶でいいですよね?」


「あ、私が入れましょうか?」


「いいのいいの。こっちはお客様なんだから」


これでは誰の部屋だかわからない。



しかしながら、習慣とは恐ろしいもので、生王は渋々ながらもキッチンに立った。



――ていうか、こんな事をしてる場合じゃないんだけど。




「ねえねえ、伊綱ちゃん。何だかこの部屋、寒くない?」


「言われてみれば…。
生王さん、エアコン効き過ぎじゃないですか?」


「いくら暑いからってこんなに涼しくしてたら、風邪引くわよ?」


「こんな部屋に篭ってるから、具合が悪くなって、顔色が悪いんですよ」


「ねえ、エアコンの設定温度少し上げてくれない」



――エアコン…?




「あら…?」


「どうしたの、彩子さん?」


「いえ、カップが3つ出ているので…」

と、彩子が首を傾げる。


「先生の他にもお客様がいらしてたんですか?」


「本当だ」


「生王さん、誰か遊びに来てたんですか?」




――みんな、何を言ってるんだよ?



――今日はエアコンなんて点けてないし、それに、カップが3つって…当たり前じゃないか。



――僕とミロクと、彼女の分に決まってるじゃないか。





生王は困惑して、薔子の方を見たが、彼女は何故かさっきから一言も言葉を発していない。



それどころか、隣に座っている伊綱も、彼女の存在に一切触れていない。



まるで、そこには誰も居ないかの様に。




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