● MONTH? A
「こんにちはーっ、伊綱ちゃん!
はぁ〜それにしても寒い!」
入って来たのは先程話に出てきた矢口さん。
彼女も頭や肩に雪を積もらせていた。
「こんにちはー、お待ちしてましたよ知床さん。
熱い紅茶も容れておきました。」
「そう、流石伊綱ちゃん。
気が利くわね、ありがとう。
あとね…」
「何ですか?」
「矢口よ!
やーぐーちーっ!!」
何時ものお決まりの展開が終わると2人ともにこやかに笑い合う。
そして寒さのせいか身体を震わせながらも雪を払うと矢口さんは私の向かいに座りコートを横に置いた。
伊綱君は予め用意していた埃が入らない為と冷めない様に蓋をした紅茶を矢口さんの前に差し出すと私の隣に座った。
「こんにちは、矢口さん」
「あら、生王君も居たのね。
こんにちは。」
矢口さんがにっこりと笑うので釣られてこちらも笑顔になる。
お互い笑顔で挨拶したまでは良かったのだが…。
「え!!
生王君、こんな寒いのにそんな冷たい物飲むの?!
薄々気付いてたけど生王君って変人なのね。」
「…ほっといて下さい。
でも変人は僕の隣…。」
「何ですか?」
物凄く危険なオーラを放ちながら伊綱君が恐過ぎる笑顔を私の方に向けて居る。
「…何でもないです。」
「それで、知床さん。
聞きたい事って何ですか?」
「やーぐーちーっ!
伊綱ちゃんは勿論だけど、生王君も居てくれるならちょうど良かった。」
「へ?
何で。」
「実は近い内に友達に合うんだけど、その友達が待ち合わせ場所をナゾナゾで送ってきたのよ!
それが分からなくって。
だから伊綱ちゃんを頼ろうと思ってね。
でも生王君も何時か助けてくれたでしょ?
ほら、『3258』の時。」
「そうだったね。」
なるほど、そういう事か。
「だから心強いなって。」
「おっ、生王さん。
期待されてますよ。
頑張って下さいね!」
「えぇっ?!
ぉ、おう!!
やってやるさ!」
何だか乗せられてる気もするが、気のせいだろうか。
でもまぁ頼られて悪い気はしない。
「では、きっとそのご友人に聞いても答えてくれなかったんでしょうから、早速そのナゾナゾの文章拝見させてもらっていいですか?」