● 君が居ないと笑えない C

そのせいで昔の夢を見たのだと生王は思った。



ただ一人、人生で唯一心から愛した人との短い大切な思い出を。
















どの位時間が経ったのか分からない程の長時間―――或いはそれ程長くない時間をそう感じたのかもしれない―――窓から行き交う久々を眺めて居た。

最初に見た時よりも、公園から帰って行く人が多い事に気付いた生王は何気なくコートを羽織り徐に外へ出た。


まだ肌寒い季節、外出するには少々薄着過ぎる格好で外に出た生王は身震いする。

通りへ出ると桜見を終えた者達の声が耳に入る。



『綺麗だったね』


『楽しかったね』



『来年もまた来ようね』


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