● MONTH? G

「解ったよ!
答えが!!」

「本当ですか?
生王さん!」

「えっ!
本当?!
生王君!!」


「うん、きっと合ってると思う。」


私は自信を持って言い切った。


「恐らく“紅葉”に関連する事だ。」

「あっ!!」


矢口さんは何か思い当たったのだろう、大きく頷く。

伊綱君も、あっ、と小さな声を漏らした。


「そうだわ、その友達との行きつけの店に必ず“紅葉”があるのよ。
凄く綺麗なお店で、何か特殊な加工で一年中紅い“紅葉”がある店なのよ。
でもどうして“紅葉”に関連があると解ったの?」


「それはこのナゾナゾの文章、全てが『花札』に関係があるんだからなんだ。」

「…?
どういう事なの??」



矢口さんはよく理解出来ていない様でしきりに首を傾げて居るが、伊綱君は確信を持った様に頷いている。

すると伊綱君が矢口さんの方を見詰めて尋ねる。


「矢口さん、『花札』ってゲームご存知ですか?」

「ん〜、名前だけ。
でもどんなゲームか私あまり知らないの。」



矢口さんは少し恥ずかしいそうに人差し指で頬を掻く。

私は頷くと『花札』についての説明を始めた。

『花札』ってのは花ガルタとも言うんだけど。
12種類の植物が描かれた札を十二ヶ月に4枚ずつ配した48枚を一組とする物を使ったカードゲームなんだ。
それに描かれてる月毎の植物ってのが、
1月は松、
2月は梅、
3月は桜、
4月は藤、
5月は菖蒲、
6月は牡丹、
7月は萩、
8月は芒(坊主)、
9月は菊、
10月は紅葉、
11月は柳(雨)、
12月は桐の絵が描かれてる。
これをナゾナゾの文章と比較すると…。」

―――――――

“2月”は2人で酸っぱい“梅”干し食べたっけ。
“5月”は久しぶりに腕相撲の“勝負(菖蒲)”したり。
“9月”は一緒に“菊”人形を見て、“次の次(11月)”は土砂降りの“雨(柳)”の中走ったっけ。

それじゃあ、“10月”に一緒に行った所で待ってるね♪

―――――――

「へぇ〜、なるほどね!」


矢口さんは感心した様に何度も頷く。


「5月の菖蒲が勝負だったり、11月の表現と柳が雨の方だったりで解りにくくしてたみたいですね。」

「えぇ、私全く解らなかったもの!
でも花札を知らない上に解りにくくされてたなら仕方ないのかもね。」



照れ笑いを浮かべる矢口さんを見て伊綱君はクスクスと笑いを漏らす。


「ありがとう生王君、伊綱ちゃん!!
これで友達との待ち合わせ場所も解ったし、今後のスケジュールもちゃんと立てられるわ♪」


「いゃいゃ〜、どう致しまして。」

「お役に立てて何よりです♪」

「じゃあ、用件だけで申し訳無いけど早速友達に連絡しに行くから、またね。
今度2人にちゃんと何かお礼させて貰うわね!」



一通りのやり取りを済ませると矢口さんは早々に事務所を出て行った。

私達はそんな矢口さんの背を見送る。


「ふふふ、私より先に答えを出すなんて生王さんもやるじゃないですか♪」

「いや〜これ位解って当然だよ。」

「おっ、言いますねぇ〜。
でも確かにこれは“A”に値します。」



そうにこやかに伊綱君は言うとキッチンの方に行った。


「へ?
え?
“A”って何?
“手を繋ぐ”?」

「もうっ!
何訳分かんない事言ってるんですか!」



それ古いですよ、と呟きながら伊綱君はお盆を持って戻ってくる。


「はい、どうぞ。」


と笑顔で言って私の前に温かい紅茶の入ったティーカップが置かれる。


「え?
どういう事??」


私は訳が分からず頭の上にクエスチョンマークが沢山浮かぶ。


「どうぞ飲んで温まって下さい。
評価が“A”だったんで♪」


「へ?
え?
あ!
その“A”だったのか〜、ヤッタァ!!」


私は喜びながら温かい紅茶を飲む。

うん!

やっぱり美味しい!!

伊綱君の入れてくれた紅茶は実に美味しい。

普通に入れてくれればだけど…なんて考えながらこっそりテーブルの端に追いやった、これでもかと言う位水滴を垂らしながらアピールしている最初に出されたアイスティーを見る。

そんな事を考えていると伊綱君が弾んだ声で話し掛けてきた。


「これでこの手のレベルなら生王さん一人で解決出来ますね!」

「おぉっ!
って、えぇ?!」

「これからは宜しくお願いします♪」

「ま、またタダ働きかぁ…ゲフー。」


喜びもつかの間、またタダ働きでこき使われる日々が待ってるのか…とほほ。


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