「もしもあそこで何かあっても。
私が君を………
君や殿下達を必ず守り抜く。」
そう決意に燃えた熱い真剣な眼差しで述べられヴァンは一瞬だけ目を大きく見開いたが、にっこりと笑うとすぐにバッシュに言った。
「苦労症だな、バッシュは。」
「はは、そうかもしれないな。」
その後、飽きもせずに二人は長い時間をただ黙って海を眺めた。
儚く、消えては現れる、確かにそこにある光を。
「そろそろ宿に戻ろう。
明日の事もあるし、バルフレアに悪い。」
「三人部屋だからか?
でも俺が出ていく時は寝てたぜ。」
「彼の事だ、気を使って寝た振りをして居たのだろう。
もし仮に眠って居たのだとしても、我々が戻れば物音で目を覚ますだろう。」
「えぇっ?!
面倒な奴だなぁ〜。」
そう言ってヴァンはわざと大袈裟にムスッとしてみせると、バッシュは可笑しそうに笑う。
ヴァンもすぐに笑顔になると心の中で口にする。
バッシュ…、バッシュは確かにオレ達の背中を押してくれてるよ。
間違わない様に、いつも正してくれてる。
だからもう一度言うよ。
ありがとう。
心の中でだけど、この感謝の思いは確かに届く。
この思いはオレだけの物じゃないから。
2010.03.19.fri. norika 拝