● release C
―――未だに過去に縛られ続ける殿下を心配して。
その事を理解すると、バッシュはヴァンの右肩に手を置き、こちらに向かせると力強く頷いてから言葉にする。
「殿下なら大丈夫だ。
殿下なら我々が意見せずとも判って下さる。」
ヴァンは柔らかい笑顔を浮かべると、うん、とだけ返事をした。
バッシュの存在はヴァンにとって―――恐らくヴァン以外にとっても―――力強く、とても安心感を与える物だった。
欲しい言葉を与えてくれる掛け替えのない存在だった。
―――ひょっとしたら。
―――バッシュが居てくれるだけで充分なのかもしれない。
そんな風に思わせる存在だった。
「もしも、」
バッシュの声にヴァンはハッとして意識を会話へと戻すと、バッシュは真剣な眼差しでヴァンを見詰めて居た。
あまりの真剣な瞳にヴァンは少したじろぎながら次の言葉を待った。