● release B

当然バッシュには何の事か判らず何故今そんな事を言うのか問えば、ヴァンは少し照れた様に今までぶらつかせて居た両足を抱えて微笑み掛ける。


「今後リドルアナで何があるかわからないだろ?
だから…さ、ちゃんと言っておきたかったんだ。」


色々と、ずっと前から思ってたし…と照れ臭さを全面に出し歯切れの悪い喋り方をする。

そんなヴァンを見て思わずバッシュも心が和らぎ、そっと答えた。


「私は君に真実を教えただけだ。
その拘泥の柵から抜け出たのは君自身だ。
私に礼を言うのではなく、その事に気付けた自分自身を認めてやれば良い。」

「…うん、わかった。」


ササァーッと静かに波が音を立てた。

再び海を眺めて居たヴァンは、ふとある想いに駆られ思わず両足を抱える腕に力を込める。






「アーシェは、大丈夫かな。」


またも突然の問いにバッシュは疑問に思うがすぐに彼は悟る。


―――あぁ、そうか。

―――彼は不安なんだ。


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