● 消えない想い E
そしてもう出ないと思っていた涙が頬を流れるのと同じ様に、静かにオレはその場から去った。
悪いのはオレ、わかってる。
この前、オレの気持ちがバルフレアに知れてしまった時、元々諦めていた気持ちを終わらせ様と思った。
この感情を棄て様と。
だけど本気で好きになってしまったのを、簡単に好きじゃなくなるなんて出来なかった。
もう流したくない涙が勝手に頬を伝った。
「気持ち、悪い思い、させてごめん…バルフレア。」
誰も居ない場所でオレはそう呟いた。
名前を呼ぶ事すら躊躇われる様な程の自分にまた涙が溢れた。
「好きになって、ごめんっ……。」
そしてオレは姿を消した。
勝手に出て来た。
旅に最後まで同行するつもりだったのに…アーシェ達にも悪かったな。
でも、もう戻れないんだ。
辛過ぎて、心が痛過ぎて、もうあの人とは一緒に居れない。