● 消えない想い D
本当は何度もこんな日があって、皆にいつかばれるんじゃないかと思って心配してたけど、いつも泣かずにいれなかった。
いつからこんなに弱くなったのかな。
こっそり泣いた後、その日はそんな事を考えながら宿に戻った。
部屋の前まで来ると中から声がした。
「君はどう思う?」
「………何が。」
聞こえるのはバルフレアとバッシュの声。
「近頃ヴァンの具合が悪そうだ。」
「…。」
言わないでくれ。
「あまり元気が無い様に思う。」
「…。」
これ以上嫌われたくないんだ。
「私は少し、心配でね。」
「…。」
この時に、勇気を出して部屋に入れたら良かったのに。
その時のオレには出来なかった。
次の瞬間、ハッキリと声が耳に届いた。
「迷惑なんだよ。」
…そう、バルフレアの声が聞こえた。
その後、まるで音の無い世界なのかと思う位、全くオレの耳は音を拾わなかった。