● 消えない想い D

本当は何度もこんな日があって、皆にいつかばれるんじゃないかと思って心配してたけど、いつも泣かずにいれなかった。


いつからこんなに弱くなったのかな。


こっそり泣いた後、その日はそんな事を考えながら宿に戻った。

部屋の前まで来ると中から声がした。


「君はどう思う?」

「………何が。」


聞こえるのはバルフレアとバッシュの声。


「近頃ヴァンの具合が悪そうだ。」

「…。」


言わないでくれ。


「あまり元気が無い様に思う。」

「…。」


これ以上嫌われたくないんだ。


「私は少し、心配でね。」

「…。」


この時に、勇気を出して部屋に入れたら良かったのに。

その時のオレには出来なかった。

次の瞬間、ハッキリと声が耳に届いた。





「迷惑なんだよ。」





…そう、バルフレアの声が聞こえた。

その後、まるで音の無い世界なのかと思う位、全くオレの耳は音を拾わなかった。


- 66 -

*← | contents | →#

* TOP *
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -