● 君のせい 8
ここに辿り着くまでの戦闘で酷く身体を痛めた等の理由は無いので、肉体的に“ヤバい”事は無かった。
自分で自分の事がよく分からない事に気付いて悶々としていた時にパンネロの少し怒った様な声が耳に届く。
「だからちゃんと休まなきゃダメって言ってるでしょ!」
どういう事だ、とヴァンが考えを巡らせている間にパンネロが自身の左後ろに置いていた水を差し出した。
「お水、預かったからちゃんと飲んでね。
そんなに焼ける位長時間砂漠歩いて来たんだから。」
この言葉を聞いてヴァンはいつの間にか入っていた肩の力が一気に抜けるのを感じながら、サンキュ、と短く礼を言ってから水を受け取る。
ヴァンが水を飲む様子を見て、パンネロは満足そうに笑うと再び徐に口を開いた。
「バルフレアって優しいのね。」
ヴァンはその人物の名前を聞いた途端、本日何度目かのまた激しい動悸を感じる。