● 君のせい 4
フランの方を見詰めたまま、ぽかんとした表情で一つ瞬きをすると今度は慌てて水を適当に一気に飲む。
口元を手で拭いながらヴァンはフランに水を手渡す。
受け取るとフランは、ありがとう、と短く言うと先程までヴァンが見ていた方をチラリと見、同じくこちらを見て居る人物と目が合う。
フランはふっと一瞬笑った後、颯爽と見回りに行った。
それには気付かずフランの後ろ姿を暫く見詰めた後、ヴァンは視線を自分の足元に落とす。
―――フランに言われるまで、オレ…
皆が居る日陰に何故か行く気になれなくて、ヴァンは近辺をぶらぶらと歩く。
熱い風がヴァンの頬を掠め、髪を揺らす。
足元は砂がさらさらと流れ、太陽の光によってきらきらと煌めいていた。
ふと足元ばかり見ていた事に気付いてヴァンは空を仰ぐ。
目を細めて太陽の方を見遣る。
大きく広がる蒼穹の中、厳しい陽射しがさんさんと降り注ぐ。
―――フランに言われるまで、オレ…水飲む事すら忘れて見てた。