● 君のせい 3
その何気ない二人の様子を見て何処か苦しくなる感覚を覚え、ヴァンは自身に疑問を抱くと同時に不快感も覚えた。
何故か身体の動きを止めてしまったヴァンの傍をふわりと風が横切る。
「どうかした?」
余程おかしな顔でもしていたのか、直ぐ傍に来た白銀の長い髪を揺らしながら美しいヴィエラが、ヴァンの表情を不思議そうに問う。
「…フラン。」
常に冷静さを称えている瞳の中に優しさが窺える眼差しで見つめられたヴァンは一瞬呆ける。
はっ、と直ぐにヴァンは我に返りフランの方を向く。
思ったより近くにある艶やかな顔に少し驚きながらヴァンは慌てて手にしていた水を差し出す。
「ごめんっ、水、飲みたいだろ?」
申し訳なさそうな顔をして見上げてくるヴァンに微笑んでからフランはゆっくり首を横に振る。
「あなた、まだ飲んでいないでしょう。
私はあなたの後でいいわ。」