● 君のせい 2

先頭を行く少年の背中に声が掛かる。

その声を聞いて少年はくるりと振り向き、声を掛けてきた男の方を見遣る。


「俺まだ平気だけど?」

「バカ、お前は平気でも休みたい奴も居るんだ。」


その言葉にムッとして一瞬頬を膨らせるが、その男が向かった先には少しだけ辛そうな幼馴染みの顔。

そのもう少し後ろには気丈な態度ではあるが多少の疲労も窺える王女の姿も見える。


そっか、女の子だもんな…


そう思い、少年―――ヴァンは皆の元へと歩みを進める。

多少でも女性陣の体力消耗を防ぐ為に荷物はなるべく男性陣が持つ事にしていたのを思い出し、ヴァンが腰に荷物と一緒に下げていた水を手にした時。


「しっかり水分補給しときな、お嬢ちゃん。」


と、自分の幼馴染みと一緒に居る空賊の男の声が耳に届き何気なくそちらを向く。

ありがとうございます、と可愛らしく微笑みながら男から水を受け取る少女。


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