● Free -鳥- D
バルフレアの声にヴァンは振り向き彼を真っ直ぐ見詰めて次の言葉を待った。
バルフレアは鳥を見据えたまま少し間を置いて続ける。
「自由の象徴とされる鳥でもな、羽を休める枝一本無けりゃ海も渡れない。
翼を失えばどうだ？」
ヴァンは黙って足元を見る。
自分には足が有る。
周りの外敵から身を守れる腕も、武具も、魔法もある。
けれど鳥には翼しか無いのだ。
唯一鳥が人より優れている翼に、焦がれるのは酷く欲深く感じた。
「けどな、ヴァン。」
ハッとして、ヴァンは再びバルフレアの方を見る。
「俺達はその自由を既に掴んでる。」
…え？、とヴァンは聞き返す。
疑問に思い大きな瞳をより大きくして、そして少し輝いた瞳で彼を見た。
「俺達は跳べるだろ？
それが飛空艇であり、空賊だ。」