● Bird -自由- B
誰もが憧れる自由の象徴である鳥に。
そう思いながら未だ空を自由に飛び回る鳥を見つめた。
「…鳥になんか、なるなよ。」
誰かからの返答があると思って居なかったアーシェは少し驚いた後、ヴァンを睨み付けた。
ヴァンは怠そうにむくりと上体だけを起こすとアーシェを真っ直ぐに見詰めた。
その瞳に負ける事無くヴァンを睨んだままアーシェは口を開いた。
「…どう言う意味よ?」
自分の憧れである“鳥―自由―”を否定された様な、酷く馬鹿にされた様な気になりアーシェは非常に気分を害した。
本当は『鳥に“なんか”とはどう言う意味か』と問いたかったがアーシェは怒りからはっきりと言えなかった。
ヴァンは視線を彼女から外し空に向ける。
葉の合間から僅かに見える蒼と鳥を確認してからアーシェの方に向き直る。
「鳥は、自由なんかじゃないから。」