● Bird -自由- A
溢れる深緑越しに果てしなく広がる蒼。
「…あっ………。」
アーシェはある物を見つけて思わず小さな声を上げる。
眩し過ぎる空に思わず目を細めながら翔るその姿を追う。
広がる蒼天に数羽の名も知らぬ鳥が翼を大きく広げ自由に飛び回っている。
そのあまりに自由な者達を見て、アーシェは心を抉られた様な気持ちになった。
今自分は『自国の自由』を得る為に“縛られている”。
自由さえ掴めば、自分を今縛り付けている物からも解放される。
決して諦めた訳では無い、…けれどアーシェは時々どうしても思ってしまう。
―――“今”何もかも投げ出して自由になりたいと。
己の責務であるダルマスカの解放から。
そして帝国に対する憎しみや、帝国にも勝る力を欲する自分自身さえからも。
「鳥に………なれたらいいのに。」