● 君に似合う物 C
「………お前は止めてよ。」
不意にふわりとヴァンがアーシェの髪に触れる。
突然だった為アーシェは少し驚いて振り返りヴァンを見上げる。
アーシェと目が合うとヴァンがにかりと笑う。
「アーシェにはさ、こういうのが似合うよ。」
ヴァンが触れた自分の髪にアーシェはそっと手を添える。
そこには髪飾りらしき感触…。
安物だけどさ、と照れ臭そうに笑いながらヴァンは小声で呟いた。
突然の事でいまいち感覚が掴めていなかったが段々と理解出来てきたアーシェは急に嬉しくなってきて思わず微笑んでいた。
ヴァンは歩き出す。
「この旅が終わったらさ。」
アーシェはヴァンの方を見詰める。
「そういうの付けろよ。」
ヴァンはアーシェに向かって笑う。
「アーシェにはそういうのが似合うから。」