● 君に似合う物 B

アーシェは思わずむっとしたが目の前の少年は全く意に介さず、軽々と片手で道具袋を持って歩き出す。

自分は常にダルマスカの事を考えているのに…そう思って言い返そうとしたアーシェが口を開け掛けた時。


「そんなだったらさ、見える物も見えなくなるし、見た物も間違った見方するぜ。」





………そうかもしれない。



彼の言葉は決して判りやすくは無いけれど、意味は通じた気がした。

ヴァンはあまりに危機感が無さ過ぎる事に変わり無いが、自分は躍起になり過ぎているのかもしれない。

功を焦りすぎて過った判断をしてしまったウォースラ―――

自分も自身を見直して過ちを犯さない様に努めなければならない。

大切な仲間だったウォースラ…彼が、彼自身を犠牲にしてまで教えてくれた大切な事。

彼を思い出した事により多くの仲間達の“想い”を同時に思い出し、アーシェはそっと瞼を下ろす。


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