● 09'Valentine G

「見てたけど…美味過ぎて気絶したんだろ?」


どうしたらそう見えるんだ!!!と、カイツは内心叫びながらヴァンのポジティブ振りに愕然としていた。

動けずに居るカイツを残してヴァンは二階に上がる。


「あっ!ヴァン兄!!」


最初にヴァンに気付いたのは救いを求める様な瞳で見詰めて居るフィロだった。

その声を聞いてパンネロもヴァンに気付き、今も力無きトマジの肩を離す。


「ヴァン!」

「何か賑やかだったな。」

「ねぇ、ヴァン。
その…。」


いざ一番食べて欲しい人が目の前に現れると中々言い出せず、恥ずかしさの為に躊躇っておどおどとしてしまうパンネロ。

そんな様子を気にする事無くヴァンはパンネロに笑顔を向けて言う。


「俺にもチョコくれよ。」

「え…。」


頬を染めて、ぎこちなく、少し乱暴にパンネロはチョコをヴァンに突き付ける。


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