● 09'Valentine D

そう言ってカイツはまだこちらに気付いて居ないパンネロ達の方を指差す。

あと数段上がれば二階に辿り着く距離まで来ていた二人の元にはっきりと三人の声が聞こえた。


「お、俺はフィロのチョコだけでいいって…。」

「もうっ!
私のは食べれないって言うの?」


力無く言うトマジに対し、ぷんと膨れっ面になりながらパンネロは自身の手作りチョコをどんとトマジの前に置く。

半泣きになりながらもトマジは両手を制止と祈願の意を込めてパンネロの前に出す。


「ヴァンに食わせたらいいだろ?
あいつの為に作ったんじゃないのか??」


パンネロは少しだけ頬を染めて首を横に振る。


「ち、違うよ!
皆に食べて貰おうと思って作ったの!!
そりゃ勿論ヴァンにもだけど…。」


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