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最後尾に居たアーシェは当然その“乗客を詰め込む”仕事の対象になり、強引にその電車に押し込まれた。
それもしてもらわなければ電車に乗り込めないので、やって貰わなければならないと、頭では理解している物の、やはり嫌な物は嫌だ。
電車の扉が何度か開閉があった後ようやく閉まり―――乗客の身体や鞄等で一度では閉まらない事は度々ある―――、車内をよく見てみると座席には当然皆座って居るのだが、座席部分に立って居る人があまり居ない事に気付く。
人々は何故か扉側に集中するのだ。
と言うのも、一部の人が依怙地になって座席部分に行こうとしないからだ。
この狭い車内でそんな事をされては当然扉部分に人が溢れる。
マナーを考えない人だからこそ出来る事であって、奥に行きたいマナーのある人は、人を無理矢理押し退けてでも奥へ行こうとする様なマナーの無い事をしない。
小さな事だが長年続いている悪循環だ。
その事を再認識し、アーシェはやはりうんざりした。