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朝。
真夏の厳しい太陽の下、大勢の人が行き交う場所に向かう。
名前も知らない、
年齢も知らない、
素性も知らなければ会った事もない。
何の目的を持って、何処に行くのかも判らない。
殆どの場合がもう二度と会う事もない。
そんな多くの人と必然的に出会う場所。
それは………
朝の満員電車。
アーシェはうんざりとした。
久々に彼女は満員電車に乗る事になった。
何時もは満員電車を嫌い、学校に不必要な程早い時間に到着し、朝から自習し勉学に励むのだが、今日は早朝の電車に乗る事が不可能だった。
その経緯に大した理由は無く、その事が余計に彼女を苛立たせた。
アーシェは今日何度目かになる大きな大きな溜息を憂鬱そうに吐くと、電車を待つ多くの人々の最後尾に並んだ。