● unreasonable 最終話

鬱陶しそうにバルフレアの手を払い除け様とするヴァンだったが、その効果も無くされるがままに髪の毛をグシャグシャにされた。

その事に余計ムッとしたヴァンだったが―――何より子供扱いされた事に不満を募らせたのだが―――、予想外の言葉をバルフレアの口から聞く事によってその感覚は吹っ飛ぶ事になる。


「ま、気持ちは判るがな。」


一瞬、何に不満を感じて居たか忘れそうになった。

が、これで、“これだけで”、機嫌を直す様では何かに完敗する様な気がしてヴァンは仏頂面のまま何も聞かない振りをした。

バルフレアはヴァンの横に座ると何を言うでも無く、目の前に広がる空を見上げた。

釣られてヴァンも空を見上げるとそこには悲しい蒼が広がっていた。

暫くの沈黙の後、ヴァンはスクッと立ち上がる。


「俺、アーシェに謝ってくるよ。」

「………そうしろ。
こんな空をお前と見るのはごめんだ。」


ヴァンは頷くと宿屋の方に走り出した。


バルフレアは変わらず空を見続ける。



やがて悲しい蒼は輝き煌めく蒼へと変わった。



2010.06.15.tue. norika 拝


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