● 09'Valentine C
捲し立てて言うカイツに対して、一呼吸置いてからヴァンは立ち上がる。
「前から言ってんじゃん。
ガーッと口の中に流し込んで直ぐ飲み込めば平気だって。」
言い終わるとヴァンはカイツを立たせて砂海亭へと足を向ける。
カイツはパンネロと会うのが恐ろしくて嫌がっていたが、力でヴァンに敵う訳も無くずるずると引きずられる様にして連れて行かれる。
砂海亭の扉を開けると相変わらず賑やかだが、二階がいつもより一際騒がしかった。
微かにパンネロやトマジ、フィロの声が聞こえヴァンは勢いよく階段を駆け上がろうとしたがカイツが酷く抵抗する。
カイツの今まで出した事も無い様な力に流石のヴァンも予想外だった事もあり蹌踉めく。
その瞬間を見逃さずカイツはヴァンに耳打ちする。
「このままじゃ死んじゃうよぅ!!
ほら!
あれ見てよ!!」