「獅龍ー!!」
「…だれ?」
「え〜、今日も忘れたんだ?ウチ空谷藍那。よろすぃく!!」
藍那。やめろとは言わないけど
辛くないの?記憶が侵食されてるからいつも覚えてないんだよ
毎日誰っていわれて、毎日自己紹介して、
おれは藍那も獅龍も大好きだよ
だから、できる限り幸せになってほしい
二人の悲しむ姿は見たくないんだ
ありがと神夜。辛いけど大丈夫だよ
だけど、もし獅龍がこの世界から居なくなるとき、記憶の無い彼は一人で死を迎えるんだよ。
周りは知らない人ばっかりの世界で。
昨日ね?やっぱりウチのことは忘れていたけど『お前、どこかで見たことある』って言われたんだ
ほんの、ほんの少しでもいいから
どんなに小さくてもいいからウチの存在が
恐怖で支配されている獅龍の心に残ってくれたら
それでいいの
…おい、赤毛
赤毛じゃねぇ。緋漣だ
緋漣も…俺の、大切な人だったのか
…さあねぇ。それは本人にしか分からない事さ。
どこかで見たことのある初対面の藍色の女が、なんか心に引っかかるんだ
今日初めて見たお前の姿も、一緒に居る黒髪も。
とても、大事なことを…俺は、忘れてる
獅龍、今楽しいか?
そんなこと訊いてどうすんだよ
病気なんだから楽しくねぇにきまってる
だけど、藍那ってやつといるとホッとするよ
アハハッ、それを本人に言ってやれ
「あいつはそのために毎日きてんだから」
ま、いにち ?
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