「ボンゴレファミリー…?」
「あぁ、そうだぞ。ボンゴレファミリーはイタリアを本拠地とした最大手のマフィアグループなんだ」
「リボーン!いきなり初対面の人にマフィアとか何言ってんの!?」
「だからさっき言っただろ、ダメツナ。こいつらも立派なマフィアだぞ」
おかしい。普通逆である。なんで二歳程のちびっこに私たちと同い年ぐらいの少年が罵られているのか
赤ん坊が私たちの名前も密かに生業としている職業のことも知っているのはおかしい。
もうここにきてから来夏といいこいつらといいおかしいことだらけだ脳のキャパシティが追いつかない
「なぁ、その赤ん坊…リボーンといったか。なんでそんなに私たちのことを知っているんだ?しかも私たちが隠し通してるマフィアだということまで」
「話は来夏から全部聞いたぞ。最もオレはアイツに聞く前からお前らのことを知っていたがな」
「ホントにマフィアだったー!!」
「まぁ…なんやかんやありまして」
神夜がそのツナマヨ野郎の突っ込みを受け止める。
その声を聞いて、得体の知れないモノが多すぎて麻痺しかけた脳がすぅと軽くなる。
あぁ、神夜がいる。もちろん藍那と獅龍も。
混乱しているのは私だけじゃない。
…多分、ツナマヨくんも混乱している一人。
「え!?こんな可愛い女の子も!?マフィア!?」
「なにウチ?ウチのこと?やったぁ、ツナくんだっけ?ありがと!ほら獅龍くん聞いた?可愛いですって!」
「よくさ、『ミジンコってキモカワだよね〜』ってクラスの女子が言ってたな。あぁ、こういうことか」
「むきー!!なんですとー!?」
ツナマヨの可愛い子発言に対して藍那は喜ぶけれど、まずは後ろの大魔神の表情を確認してからにしてほしい。降臨してるよ、大魔人が。恐怖はすぐ後ろにあるよ。
獅龍も獅龍で過保護過ぎやしないか。幾ら小さい時から一緒にいるとは言えど藍那への褒め言葉一つで大魔人降臨させるのはいただけない。いつ魔力が切れてもおかしくないくらいには発動させている。いや、魔力ないけど。
「藍那も獅龍も!一回黙ってこのチビの話聞こうぜ!僕らまだなにも分かってないだろ!?チビ、続きよろしく頼む!!」
私たちのオカン神夜、ありがとう。口調と一人称が恐ろしく似合わないけど。
それを聞いたリボーンは神夜の肩に飛び乗って続きを話し出した。
「単刀直入に言うが、お前たちは今からボンゴレのファミリーに入ってもらう。ボンゴレ四神としてな。」
「ぼんごれしじん?」
「ボンゴレ四神とはボンゴレの所有する土地をそれぞれ守る南の朱雀、東の青龍、西の白虎、北の玄武の総称のことだぞ。そんなことも知らねぇのか藍那」
「いや、知らないっていうか…初めて聞いたっていうか…?」
「それを知らねぇって言うんだぞ。とにかく、お前らはボンゴレ四神としてここ並盛でツナや他のファミリーと一緒に修行を積んで更に強くなれ。異論は認めねえからな」
「いや、でもチビの知ってる通り僕らは違うファミリーに…」
「ここには、お前らのいたファミリーは存在しねぇ。お前らがいた世界にだけあのファミリーは存在したんだ」
ファミリーが存在しない。
私たちの居場所が存在しない。そう言われているようなものだった。
「だからこそだ。お前らのファミリーはねぇがボンゴレがある。この瞬間からボンゴレが新しいお前たちの居場所だ」
リボーンが私の思考を読み取ったかのように言う。
新しい居場所。
新しいボス、ツナマヨ。
まだ見ぬ新しいファミリー
想像するだけで心がきゅっとなる。不安からでも恐怖からでも、前のファミリーを離れる寂しさからでもない
喜びから、この胸は鼓動を早くする。
私はもう一回ツナマヨを見る。私が新しく忠誠を誓うボス。
当の本人は私の目つきが悪かったのか、どぎまぎしている
ちょっと頼りないけど、この人なら大丈夫だ。そう感じた。
「我々をファミリーの一員としてお迎えくださり感謝いたします。天月緋漣、この命をボンゴレに、ボスに捧げます」
私がツナマ…ボスに跪き忠誠を誓うと、後ろの三人も跪く気配がした。
「え!?えぇっと…ま、マフィアとかオレ、そんなつもりないし……だけど、友だちにはなりたい…と思ってる」
そう言ってふにゃっという力の無い笑みを浮かべるボス
あぁ、私はずっとこの瞬間を待っていた気がする。全身を喜びが駆け抜けた。
それと同時に負の感情ではない、ある種の切なさが一瞬だけ喜びに混じって背中を走る。
ずきと甘く鈍い痛みに疑問を感じたが一瞬の事で、なんとも思わなかったが。
嬉しいのだ。
この方と未来を作っていけることが嬉しい。
なにより、また四人でいれることが、嬉しい。
おはよう新世界
(君となら、素敵な世界を見られる気がした)