金平糖が月の代わりに僕らを照らしてる




「来、夏…?」


隣で緋漣が微かに、けれどはっきりとそうつぶやいたのが聞こえた。



「うん、来夏。僕は来夏」


そう言って青年はその怪しげな笑みをますます深くした。
もし、『来夏』ってやつが、本当に普通の奴だったら俺らは多分こんなに驚いてはいないだろう。
けど、その『来夏』ってやつは俺らを動揺させるには充分なある種の空気を纏っていた。


こいつとは関わっちゃいけない。あいつの纏ってるその空気がそうさせるのか、俺の本能が警告を出していた。
それと同時にこいつのあの血のように赤い瞳を見るとなぜか脳の最奥がきりりと痛んで。それから、

このことは隣で同じように来夏を見ている緋漣も同じ様に感じていると思う。
だけど、俺は一瞬で他のことに意識を奪われてしまった。


そう。俺の背後で起こってることで





(チョットー、藍那サーン、これ僕たち完全に出てくタイミング失ったよね)

(いいの!もういいの!なんか言ってることよく理解できないから!後で緋漣とかに教えてもらったほうが絶対イイ!うん、そうしよう)

(さっすが藍那!でも、緋漣でいいの?こういうのって一番対処できるの獅龍じゃない?)

(うっせぇぇぇぇ!もし獅龍に聞いてみろ…その時はな…)

(その時は…?)

(……なんか色々やばくなるぞ!)

(……)

(あれ?ちょっと神夜さん聞いてる?ちょっと?)

(藍那…僕今思うんだ…本当にやばいのは、そう、今この瞬間なのかもしれないってことを)

(それってどういう)



うぎゃぁぁぁぁぁぁ


僕が最後に聞いた藍那の声はこの世のものとは思えない断末魔でした。
2年B組星時神夜。



「神夜、お前も血祭りに上げるぞ」

「ごめんなさい」

「お前らそのまま黙ってくれればよかったのによ。そしたら獅龍さんの制裁も喰らわないで済んだのに…」


緋漣が溜息をつきながらこちらへ向かってくる。
さっき俺がぶん殴った時に飛んで行った藍那を足蹴にしながら。あ、邪魔だったんだな。


「なんか緊張感削がれるなァ、もう。あ、来夏サーン続きどうぞ」

「え?このタイミングで?」

「短く話せよ、短く」

「緋漣ちゃんてコワいね…。じゃあ言わせてもらいますが」






君たち、もうすぐ死ぬでしょう









金平糖がの代わりに僕らを照らしてる
 (それからすぐに起き上がった藍那は固まっている俺たちの様子に状況が飲み込めないでいた。)



…もう一発殴っとくかな









毎回のタイトルミスマッチ具合


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