あの抜けるような綺麗な青だけが知っている






「外に出ると案外あっついな」


「もう5月だからねぇ」


「そりゃな。ガリガリ殿も売り切れるわな」



4人でコンビニ行った帰り道。そりゃコンビニに着いた途端に藍那があなたとコンビニ!!なんて歌い出すもんだから(その歌のコンビニでもないのに!)、もう周りの視線が痛かったらありゃしなかった。
緋漣はその場でこれでもかっていうくらい軽快な音を鳴らして藍那を殴るもんだから、また僕達に視線が集まってなんだか居たたまれなくなった。


あの数字がプリントされたレジ袋を片手に歩道とぶらぶら歩く僕ら。
良かった、今日が学校の創立記念日で。だから学校も一週間くら休みだひゃっほうとかなんとか叫んでた藍那。走り出してもうそんなことまで行っちゃったんだね。はしゃぎすぎ



「おーい藍那、お前ちゃんと前見ろよー」


あぁ、注意してる緋漣はもう立派はおと…じゃない、お母さんだなぁ。
緋漣は、僕が女の子扱いをするとたまに少しだけ不機嫌になる。
本人曰く、らしくないから嫌なんだそうだ。

でもそれはもう昔のことで、今ではちゃんと反応してくれる。
ぶつぶつ言いながらだけど。




ふと空を見上げると綺麗な水彩絵具を垂らしたような快晴が広がっていて。
なんだか泣きたくなるような。

僕と同じように空を見上げていた獅龍と目が合って、二人で笑い合ったりした。




「あ!ほら、青信号になりそう。急げ!」


「えー、もういいよ。ダルいし。歩いても間に合いそう」


「なに言ってんだ!そんなんだから緋漣はお父さんって呼ばれんだよ!」


「そうかそうか、藍那ちゃんはそんなに私に殴られてほしいのか」


「違うわ!」


なんだかんだ喧嘩してるけど綺麗な顔に笑みを浮かべている辺り、本当に仲がいいなぁと思う。それを見物してる獅龍の眼もそこはかとなく優しかった。



「そういえば今日、あそこのケーキ屋さんのプリンの日だよ!」


結局横断歩道は走らなくても渡れるようで、僕らは悠々とその縞々を渡る。
すると、ふいに藍那がこちらを向いて話し出す

そうだった。僕らがたまに行くあのケーキ屋さんのプリンの日。いつもは店頭に並ばないプリンが数量限定で毎月2日に登場するんだっけ。



「そうだ。じゃああとで行こうか」


「うん!」


なんだかんだで緋漣は藍那に甘いから、どうせ何個も買ってくるんだろうな。
二人で笑い合いながら、僕の一歩先を行く彼女たち



突如左側からそれはやってきた。





幸せそうな二人に似つかわしくない、本来なら来ないはずのない鉄の塊




危ない



必死で叫んで、緋漣たちが振りむくも、もうそれは、トラックはそこまで来ていて。
気付けば獅龍と二人して、緋漣たちのもとへと走っていった。


あ、これ、僕達4人で死んじゃうかも。



やけに頭は冷静だった




それから先は、






この抜けるような綺麗なだけが知ってる
 (ごめん藍那、あのプリンもう食べれないと思う)









とうとうやってしまった…
いきなりすぎたかと反省



12.7.8



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