「そろそろやなぁ」

「…何がや」

「ぼんが行ってまうこと」


しゃあないやん


そういってぶっきらぼうに私の頭を撫でるぼん


「本当に行きよるんですか?」

「オレが決めたことや。口出しするもんちゃうで」

「はぁーい」

 
ぼんのそういう真面目なとこ、めっちゃ好きです
そう言うたら、きっと真っ赤になって殴られるのがオチやから、よう言わん

一年でっせ、ぼん。たった一年の違いやん
そろそろこっち向いてくれてもええんとちゃいます

志摩君からも子猫丸くんからも、大きなったなぁって言われますよ
あなただけが、こっち向いてくれへんのですよ


それが、私にとってどれほどの意味を示しているのか知ってはるんですか?
私があと一年早く生まれていれば、私はあなたと一緒に行けたのに


向こうであなたは私の知らない女の子と恋に落ちはるのやろか
私が今あなたに向けている気持ちを、あなたは他の人に向けてしまわれるのでしょうか

嫌やわ、そんなん
耐えきれへんなぁ


「堪忍や…」

「あ?なんか言いよったか」

「いえ、なんも言うとりまへん」


なまえの考えることはようわからんわぁ

そう言って無邪気に笑うぼん
もうそれだけでええんです

私には、これがお似合いですねん




「ぼん、気をつけて。風邪引かんでくださいね」

「なまえもな。お前が熱出したら志摩がとんで帰ってくるで」


ぼんも一緒に来てください


冗談めいたその言葉は、本気だった


その言葉を隠して、私は綺麗に笑えられたやろか
なにも苦痛に思わずに、私のお師匠様の息子としてぼんを見送ることはできていましたか?
好きな人。と思って見送るんは、ほんに辛いことなんやで



後生やから、お願いやから


行かんとって




この背中に




  

    (ほいだら、何か変わるんやろか)





青エク…
一巻の初版から読んでいますが
こんなに人気漫画になってたんですね……

ちなみに私が一番好きなキャラは志摩くんです



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